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I'll Be Seeing You
- 作曲: FAIN SAMMY,KAHAL IRVING

I'll Be Seeing You - 楽譜サンプル
I'll Be Seeing You|楽曲の特徴と歴史
基本情報
『I'll Be Seeing You』は、作曲サミー・フェイン、作詞アーヴィング・ケイハルによる1938年発表のバラード。ブロードウェイ・ミュージカル『Right This Way』で披露され、のちにジャズ・スタンダードとして定着した。通常32小節AABA形式で演奏され、歌詞は離別と再会への希望を静かに描く。
音楽的特徴と演奏スタイル
旋律は流麗で、語りかけるようなフレージングが要。テンポはスローバラードが主流で、自由なルバート導入や間合いの活用が映える。ハーモニーは循環進行を基調に、転調や代理和音、トライトーン・サブなどのリハーモナイズにも耐える懐の深さを持つ。器楽演奏では歌心重視のシンプルな歌い回しが評価される。
歴史的背景
楽曲は第二次世界大戦期に特に広く親しまれ、遠く離れた家族や恋人を思う歌としてラジオやダンスホールで頻繁に取り上げられた。戦時の情緒と結びついたことで、ノスタルジックな記憶の象徴となり、終戦後もアメリカン・ソングブックの重要レパートリーとして残った。初演以降の詳細な舞台上の扱いは情報不明。
有名な演奏・録音
代表的録音として、1944年のビング・クロスビー盤、同年のビリー・ホリデイ盤が知られる。フランク・シナトラをはじめ多くの名歌手が取り上げ、ジャズの演奏家によるインストゥルメンタル版も多数。録音年やチャート成績の細部は版によって異なるためここでは情報不明とするが、いずれも長く聴かれている名演である。
現代における評価と影響
現在もジャム・セッションやリサイタルの定番で、追悼や幕切れの一曲として選ばれることが多い。音域やテンポの自由度が高く、ボーカリストの表現力や伴奏者の間合いを学ぶ教材としても重宝される。ストリーミングでも複数の名録音が容易に聴け、世代を超えて再評価が進む楽曲だ。
まとめ
『I'll Be Seeing You』は、簡素な言葉と普遍的なメロディで“再会の希望”を託す一曲。AABAの堅牢な枠組みが解釈の幅を支え、時代を超えて演奏者と聴き手を結びつける。初演の文脈から戦時の記憶、現代のステージまで、変わらぬ魅力で生き続けるジャズ・スタンダードである。