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Almost Like Being In Love

  • 作曲: LERNER ALAN JAY, LOEWE FREDERICK
#スイング#スタンダードジャズ
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Almost Like Being In Love - 楽譜サンプル

Almost Like Being In Love|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Almost Like Being In Love」は、アラン・ジェイ・ラーナー(作詞)とフレデリック・ロウ(作曲)の名コンビが手がけたブロードウェイ・ミュージカル「ブリガドーン」(1947年初演)の代表曲。舞台での成功を受け、1954年の映画版でも取り上げられ広く知られるようになった。恋に落ちた高揚感を軽やかに歌い上げる内容で、ショー・チューンとして生まれながら、のちに数多くのジャズ歌手・奏者に愛奏され、アメリカン・ソングブックの定番曲へと定着している。

音楽的特徴と演奏スタイル

形式はショー・チューンの王道である32小節のAABA。明るいメジャー・トーンと、軽快に駆け上がる旋律が印象的で、終止に向けたドミナントの推進力が心地よい解放感を生む。コード進行はII-Vを含む機能和声が中心で、ヴォーカルではミディアム〜アップの4ビート・スウィングが定番。インストでは軽快なテンポでのビバップ的アプローチから、バラード寄りのリハーモナイズまで幅広く、メロディの可聴性を活かしたアドリブ構築が映える。キー設定やイントロの作り替えも自在で、編成を問わずアレンジ適性が高い。

歴史的背景

第二次大戦後のブロードウェイは、豊かな旋律とドラマ性を備えた楽曲が多数生まれた時期。「ブリガドーン」はスコットランドを舞台にした幻想的な物語で、その中で本曲は登場人物の高ぶる感情を端的に伝える役割を担った。ラーナー&ロウの洗練された語法はやがて映画化でも花開き、舞台発のショー・チューンがポピュラー/ジャズへ流入する潮流の中で、本曲は早くからスタンダードとしての地位を築いた。

有名な演奏・録音

映画「ブリガドーン」(1954)ではジーン・ケリーの伸びやかな歌唱が印象的で、映像とともに本曲の認知を押し広げた。フランク・シナトラはスウィンギーで洒脱な解釈を示し、ナット・キング・コールは温かなバリトンでロマンティックな側面を引き出した。エラ・フィッツジェラルドは「Ella Fitzgerald Sings the Lerner & Loewe Song Book」で取り上げ、卓越したタイム感と発音でショー・チューンをジャズへと架橋。これらの録音は、今日までの演奏解釈の範型として参照され続けている。

現代における評価と影響

「Almost Like Being In Love」は、ヴォーカルとインストの双方でレパートリー化し、コンサートやセッションでの定番曲として定着。明快な構造と記憶に残る旋律は、教育現場でも取り上げやすく、アレンジ教材としても有用とされる。舞台作品の再演や録音の再発を通じて新しい世代にも届き続け、ショー・チューンとジャズの交差点を示す代表例として、批評的にも音楽実践的にも高い評価を保っている。

まとめ

ブロードウェイ由来の華やぎと、ジャズに適した明快なフォームを併せ持つ本曲は、恋の高揚感を普遍的な喜びとして描き出す。多彩なアレンジに耐える強靭なメロディは、時代やスタイルを超えて演奏者と聴き手を魅了し続ける。初演以来の歴史と数々の名演が、その普遍性を裏づけると言えるだろう。