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I've Heard That Song Before

  • 作曲: STYNE JULE
#スイング#スタンダードジャズ
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I've Heard That Song Before - 楽譜サンプル

I've Heard That Song Before|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Jule Styne作曲、Sammy Cahn作詞の「I've Heard That Song Before」は、1942年の映画『Youth on Parade』で初披露。翌年、ハリー・ジェイムズ楽団(ヴォーカル:ヘレン・フォレスト)の録音がBillboardチャートで1位となり、一躍ポピュラー化。以後、多くのジャズ演奏家に取り上げられている。歌詞は“耳にした旋律が過去の恋の記憶を呼び戻す”というノスタルジックな主題で、幅広い世代に親しまれてきた。

音楽的特徴と演奏スタイル

柔らかく流れる旋律とスウィングの心地よさが核。ミディアム〜ミディアム・スローで演奏されることが多く、歌伴はレガート主体、インストは4ビートでメロディを活かすのが定番。伝統的な32小節の歌曲形式(AABA等)で扱われ、ツー・ファイブ進行に基づくアドリブ展開が組み立てやすい。メロディの抑揚を大切にし、ブレスやフレージングを丁寧に扱うと楽曲の魅力が際立つ。

歴史的背景

第二次世界大戦期のアメリカで生まれ、懐かしい旋律が過去の恋を呼び覚ますという主題が、当時の郷愁と共鳴した。映画での使用に続き、1943年の大ヒットで一気に普及し、翌年のアカデミー賞歌曲賞ノミネートという栄誉も後押しとなって、歌と演奏の双方で定番化が進んだ。スタインとカーンの黄金コンビが放った代表曲として、アメリカン・ポピュラー音楽史に確かな足跡を残している。

有名な演奏・録音

最も知られるのはハリー・ジェイムズ&ヒズ・オーケストラ(ヘレン・フォレスト)。以後、男女ボーカル、ビッグバンド、小編成コンボと幅広い形態で録音が残る。アレンジはバラードから軽快なスウィングまで多彩だが、要はメロディと歌心を前面に置くことだ。テンポ設定やイントロの作り方ひとつで印象が大きく変わるため、演奏者の個性が反映されやすい。

現代における評価と影響

現在もグレイト・アメリカン・ソングブックの一曲として、セッションやステージのレパートリーにしばしば選ばれる。普遍的な主題ゆえに世代や編成を問わず馴染みやすく、ボーカリストは語り口のニュアンス、器楽奏者はリリカルな歌い回しを磨く教材として適する。編曲面でも、ストリングスを加えた室内楽的サウンドから小粋なコンボ・スウィングまで幅広い可能性を持つ。

まとめ

映画発のポピュラーがジャズ現場で磨かれ、長命なスタンダードとなった好例。親しみやすい旋律とノスタルジアという明快な物語性が、時代を超えて演奏家と聴き手を結びつけ続けている。初学者からベテランまで、解釈の幅を楽しめるレパートリーとして今後も定着し続けるだろう。