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If Ever I Would Leave You
- 作曲: LOEWE FREDERICK,LERNER ALAN JAY

If Ever I Would Leave You - 楽譜サンプル
If Ever I Would Leave You|楽曲の特徴と歴史
基本情報
If Ever I Would Leave You は、Frederick Loewe(作曲)と Alan Jay Lerner(作詞)によるミュージカル『キャメロット』(1960年初演)の劇中歌。劇中では騎士ランスロットがグィネヴィアへの不変の愛を誓う場面で歌われ、抒情的バラードとして舞台の重要な感情の軸を担う。オリジナル・ブロードウェイ・キャスト録音で広く知られ、とりわけロバート・グーレの歌唱で名高い。のちにジャズやポピュラーのレパートリーにも取り入れられ、ショー・チューンとしての出自を超えてスタンダード化した。
音楽的特徴と演奏スタイル
穏やかなテンポで始まり、広い音域を用いた長いフレーズが情感をじわりと高めていく。季節の移ろいを喩えに用いる歌詞の構図に呼応するように、段階的なダイナミクスと転調が劇的な弧を描くのが特徴。ジャズではバラードとして扱われ、ルバートのイントロからレガート主体で歌い上げるアプローチが一般的。豊かな和声進行はリハーモナイズにも適しており、ピアノ・トリオの繊細な伴奏からストリングスを伴う大編成まで、編曲の幅が広い。ヴォーカルはブレス配分とクレッシェンドの設計が要点で、語りと歌の境界を滑らかに繋ぐ表現が求められる。
歴史的背景
『キャメロット』はT・H・ホワイトの小説『永遠の王』に基づく作品で、アーサー王伝説を題材にしたローナー&ロウの代表的ミュージカルの一つ。『マイ・フェア・レディ』に続く黄金期の到達点として1960年に初演され、本曲はランスロットの人物像を深める要のナンバーとなった。上演当時から舞台外でも独立した名曲として扱われ、ラブ・バラードの新たな定番としてラジオやコンサートの場で広まった。
有名な演奏・録音
代表的な音源として、1960年のオリジナル・ブロードウェイ・キャスト録音(ロバート・グーレ歌唱)が挙げられる。また、1967年の映画版『キャメロット』のサウンドトラックにも収録され、作品世界のロマンティシズムを視覚とともに補強した。その後も多くの歌手・ジャズ奏者がアルバムで取り上げており、コンサートの定番バラードとして親しまれている。網羅的な録音一覧は情報不明。
現代における評価と影響
今日ではショー・チューンとジャズ・スタンダードの双方で位置づけられ、ヴォーカリストのバラード力を示す指標曲として歌唱コンクールやリサイタルでも頻繁に取り上げられる。楽曲の明快な物語性と伸びやかな旋律は、演技と歌の統合を学ぶ教材としても有用。舞台の再演やガラ・コンサートでも高頻度で選曲され、世代を超えてレパートリーに定着している。
まとめ
If Ever I Would Leave You は、ローナー&ロウが築いたロマンティックな作風を象徴する名曲であり、劇中の感情を凝縮したラブ・バラードとして誕生したのち、ジャズやポップスの現場でも生き続けるスタンダードとなった。季節を手掛かりに永遠の愛を誓う普遍的テーマ、息の長い旋律線、劇的な高まり——その三要素が、時代を越えて聴き手と演奏者を惹きつけている。