あなたのポケットにスタンダードの楽譜集をソングブック12keyに移調できる楽譜アプリ「ソングブック」

アーティスト情報なし

Cheek To Cheek

  • 作曲: BERLIN IRVING
#スイング#スタンダードジャズ
App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう
← 楽曲一覧に戻る

Cheek To Cheek - 楽譜サンプル

Cheek To Cheek|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Cheek To Cheek は、作曲・作詞ともにアーヴィング・バーリン(Irving Berlin)による楽曲で、1935年の映画『トップ・ハット』でフレッド・アステアが歌い、ジンジャー・ロジャースと共に魅惑のダンス・シーンを築いたことで広く知られる。英語歌詞の人気曲として発表され、その後ジャズ・スタンダードとして定着。ロマンティックなダンスの高揚感と幸福感を主題にし、時代を超えて多くの歌手・演奏家に取り上げられている。

音楽的特徴と演奏スタイル

楽曲形式は典型的な32小節のAABA構成。メロディは跳躍とステップワイズが巧みに交差し、スウィングの心地よい推進力を生む。テンポはミディアム〜アップで演奏されることが多く、ヴォーカルものでは軽やかなレガートと明瞭なディクションが映える。一方インストではAセクションの歌心を活かしつつ、Bセクションでハーモニーの展開を捉えた即興が聴きどころ。リズム面は4ビートのスウィングが基本で、ダンス・チューンとしての躍動感を保ちながら、エレガンスと浮遊感を両立させる表現が好まれる。

歴史的背景

1930年代半ば、ハリウッドのミュージカル黄金期に誕生した本曲は、バーリンの洗練されたソングライティングとアステアの歌唱・ダンスが相まって瞬く間に人気を獲得。映画『トップ・ハット』の象徴的場面に使用され、当時の大衆に強い印象を残した。翌年のアカデミー賞では歌曲賞にノミネートされ、アメリカン・ソングブックを代表する一曲として評価を確立。以後、ステージ、放送、レコード産業の発展とともに継続的に演奏され、スタンダード化が進んだ。

有名な演奏・録音

初演のフレッド・アステア版(1935)は不朽の基準点。エラ・フィッツジェラルド&ルイ・アームストロングによる名唱(1956)は、対話的フレージングと温かなスウィングで定番化した。フランク・シナトラのカバーも広く知られ、洗練されたスウィングの手本とされる。近年ではトニー・ベネット&レディー・ガガのデュエット(2014)が話題を呼び、新世代に楽曲の魅力を浸透させた。ほか、多くのジャズ・ヴォーカリストやピアノ・トリオがレパートリーとして継続的に取り上げている。

現代における評価と影響

Cheek To Cheek は、ジャズ教育やセッションの基本曲として幅広く参照され、ヴォーカルとインストの双方でアレンジの自由度が高い。映画起源の華やかさと、ダンス曲としての普遍的な高揚感が両立しており、リスナー層を超えて受容され続ける理由となっている。デジタル配信時代でも再録が途切れず、プレイリストでも頻繁にキュレーションされるなど、時代適応力の高いスタンダードとして位置づけられている。

まとめ

映画発の名曲でありながら、ジャズ・スタンダードとして普遍性を獲得した Cheek To Cheek。32小節AABAの明快な構造、軽やかなスウィング、そしてロマンティックな主題が、世代やジャンルを超えた愛好を支えてきた。初演のアステアからエラ&ルイ、現代のデュエット作まで、多彩な解釈が可能な“生きたレパートリー”として、今後も演奏・録音の更新が続いていくだろう。