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In The Still Of The Night
- 作曲: PORTER COLE

In The Still Of The Night - 楽譜サンプル
In The Still Of The Night|楽曲の特徴と歴史
基本情報
『In The Still Of The Night』は作曲家コール・ポーターによる楽曲で、1937年公開のMGM映画『Rosalie』のために書かれた。洗練された旋律と都会的なムードで知られ、のちにアメリカン・ソングブックを代表する一曲として広く演奏されるようになった。原曲は歌付きのポピュラー・ソングだが、ジャズの現場でも頻繁に取り上げられる。
音楽的特徴と演奏スタイル
多くの演奏ではミディアムからスローテンポで、しっとりとしたバラード感を活かす解釈が主流。リッチなテンションを伴う和声処理が映え、ヴォーカルでは長いフレーズとダイナミクスの対比が要求される。インストではスウィングやラテン風へのアレンジも行われ、ブリッジでの色彩的な和声展開が聴きどころになる。
歴史的背景
1930年代後半はブロードウェイ/ハリウッド・ミュージカルが全盛を迎えた時代で、ポーターは同時代の作家の中でもとりわけ洗練された作詞作曲で人気を博した。本曲も映画の挿入歌として登場後、シート・ミュージックやレコードを通じて広まり、ダンスホールやラジオで親しまれた。公開年は1937年。
有名な演奏・録音
名唱としてしばしば引き合いに出されるのが、エラ・フィッツジェラルドによる『Cole Porter Song Book』での録音。フランク・シナトラをはじめ、多数のシンガーやビッグバンドが取り上げ、ジャズ・コンボでも定番化した。映画『Rosalie』での初出以外の具体的な使用作品は情報不明だが、録音史上の存在感は大きい。
現代における評価と影響
今日ではスタンダード曲集やレパートリー指南書にも収録され、ジャム・セッションやリサイタルでの常連曲となっている。歌詞のロマンティックな情感と、解釈の幅を許す構造が教育現場でも重宝される理由だ。配信サービスでも複数の名演が聴け、世代を超えて新録が途切れない点が評価の裏付けとなっている。
まとめ
『In The Still Of The Night』は、映画発のポピュラー曲として生まれ、ジャズ・スタンダードへと定着した。歌と器楽の双方で映える設計、そして時代を超えるロマンが、現在も演奏者と聴き手を惹きつける。作品や歌詞の詳細に不明点は残るが、その魅力と歴史的価値は揺るがない。